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コラム

2019.02.04

装置・機械等、専門的な分野のWebマーケティング

images執筆:コンサルタント 上田

装置・機械等、専門的な分野のWebマーケティング

装置・産業機械といった専門的なBtoB分野で、Webマーケティングはどうすれば良いのか?業界動向は?というお話です。

当社でも13年前の創業以来から何社も支援し、幸運なことに過去全てのお客様で結果を出すことが出来ている得意分野ですが、装置・産業機械といった専門的なBtoB分野では、Webでの戦い方として、下記が一般的と感じています。

装置・産業機械分野のWebマーケティングで行われていること

  1. 分野ワードでのSEOとページ改善
  2. イプロス等専門ポータルでの活動
  3. 広告出稿

順に見て行きましょう。

1.分野ワードでのSEO上位表示とページ改善

装置や機械の市場では、1件数百万円から、モノによっては数千万円、数億円となるものもある高額なBtoB市場です。しかもターゲットを対象業界の技術者としていることから、Web上で表現する内容も非常に専門的になる傾向があります。

そんな専門的・プロフェッショナルな市場において、ついついやりがちな失敗として「専門用語の羅列」「掲載情報の絞りすぎ」「技術・営業・マーケティングの断絶」があります。

回避すべきこと:専門用語の羅列

「業界内の人であればこれでわかるだろう」というのは、結構思い込みだったりします。現職のプロから見ても「よくわからん」となるWebページは極めて多いです。
だけどそんなページを見て「他社はノウハウがすごいな・・・」とか思って尻込みする必要はありません。それ、当事者である他社の営業担当者も、さらにはそれを見た顧客も「わからん」と思ってますから。

では、専門用語だらけになってしまうコンテンツでは、何が問題なのでしょう?次の文章を読んで見て下さい。

専門用語の羅列例

最新のディープラーニングを搭載したDSP

弊社は、高度に細分化された個人マーケットにおいてシェア拡大を実現する画期的な次世代アドソリューションを提供致します。
一般的に機械学習は多層化すればするほどGPUシステムに膨大なコスト又は時間が掛かり、ある一定規模を越えるビッグデータを扱う場合構成が困難です。またRDBMSでは急激な応答速度の低下が避けられませんが、キーバリューストア型のNoSQLで構成された対象市場毎に分割可能でハイスケーラビリティのインフラストラクチャー基盤で実装されているため、1,000億レコードを越える規模であっても専門エンジニア無しにモデル構築やマーケティング運用が可能です。

  1. 安全で親和性の高いジオグラフィック・マーケティングを実現
  2. エスノグラフィーの観点によって導き出された行動最適化のための自動判定
  3. 帰納的手法で再構成した非線形アルゴリズムと多階層畳み込みニューラルネットワークによりアドフラウドを回避し、グロース初期段階のキャズムを越える決定打となります

意味わかりましたか?

(上記は適当に書いた文で、実在のソリューションではありません。)
「なんとなく、何か凄そうな雰囲気」だけは伝わってきますが、問い合せしたいかというと、このサイトに訪問しているマーケティングに興味がある読者でも、したくないと思います。

同じことがあなたの業界・あなたの会社のWebサイトでも起こっているかもしれません。その場合ケアしましょう。

想定閲覧者の知識水準を1段階落として考える

想定閲覧者層の知識レベルを考えながら1段程度専門性を下げ、知識が無い人に近づくイメージで考えてみましょう。
掲載する内容・項目が「その分野の基礎なのか否か」で、ケアをすべきか判断する必要があります。完全に根底を成す基礎事項であれば、ケアは不要です。

例えば半導体業界で「ウエハー」とは何かを知らない人は居ないでしょうし、業界内の人であれば「300mmの~」と言えば、何を指すか分ります。

企業によって使う言葉が違うことがあります。自社や周囲の数社では定着しているが、実はメーカー独自用語だったというケースや、なんとなく雰囲気で理解しているつもりだった言葉が、技術者が営業サイドになんとか伝えるためにクリエイトした全くの造語だったりするケースもあります。

一番勿体ないのは「そもそも間違っている」情報掲載

酷い場合は専門用語の使い方を間違っているが、専門的すぎて社内の誰も間違いに気付かないまま、間違ったマーケティングをしているケースもあります。

弊社がコンサルティングで入る場合の例ですが、まず当該分野の書籍を手に入るだけかき集め知識を入れ、分らないことはWebで調べながら技術面の調査を行った上で、冷静になって一つ一つ突っ込みを入れていきます。「これは、何でしょう?」「これはこういう理解で合っていますか?」するとWebご担当者様はハッとした表情をされて「確かにわからないですね、確認します」というお返事を頂くことが多いです。

ある程度の知識が無いと、突っ込みすら不可能なのが難解さを持つ専門分野

おかしなところというのはある程度の知識や経験が無いと気付くことも困難ですし、適切な指摘をすることも無理なのです。

見込み客が「わからん」と言って折角書いたコンテンツを無視して、もやもやっとした気持ちでページを見ていくシーンを想像してみて下さい。その中で御社が生みだした「画期的な価値」を伝えようとして新概念を提唱してみても、それは見込み客にとって「わからん」の1つになってしまいスルーされてしまうのです。

理解に使う思考のパワーは、本当に伝えたいところのためにセーブしておく

Webサイトを見ると言うことは、何かの情報を求めています。つまり、新情報は価値のはずです。ですが、新しい情報というのは理解に思考のパワーを要します。

わからないことが数個混じっているだけでそのページを理解する大きな妨げになり、諦めてしまうことでしょう。「いかに見込み客の思考リソースを削らずに、本当に訴求したいものに集中させるか、そして、本質的に深いところまでわからなくても、満足し、わかった気になってもらえるか」そのさじ加減と演出に、専門的な分野におけるマーケティングの醍醐味があります。

回避すべきこと:掲載情報の絞りすぎ

「この情報は競合に渡したくないんです」そう言って情報を絞ることがあります。気持ちはとてもわかります。理想を言うと何も情報を出さずに、100%ニーズにあったお客様が勝手に向こうから会いに来てくれて、こちらの提供出来るものと顧客ニーズが完全に噛み合っていて、全てが調和し受注し良い関係になるのであれば最高なのですが、現実はそうは行きません。

過去の成功体験を捨て、時代に合わせた小さな成功を、まずひとつ作ろう

旧来BtoB分野においては、それに近い概念のことが起こっていました。公開されている情報というのは限られており、顧客がカタログ以上の情報を求めるときは、営業マンから仕入れるものでした。営業マンは相手を見て情報を選別し、時にはフィルタリングし、競合との商談進捗状況を探りながら自社に有利になるよう情報をコントロールし商談を進めていくことが出来ました。

顧客は、営業マンに合う前に購買検討プロセスの6割を終えている

Webの発展により状況は様変わりしました。よく言われるのが、「顧客は、営業マンに合う前に購買検討プロセスの6割を終えている」というものです。情報収集はあらかたWebで終えており、判断も進んでいます。それに対応し、「Webで出せる情報を出す」ことで、優位な立場で引き合いを獲得し、商談を進めている企業が増えています。一方、対応出来ていない会社はじわじわと苦しい立場に陥っているのではないでしょうか。

当然ながら、全てさらけ出す必要はありません。優位に立つための情報を、狙う見込み客に対し効果的に選別し用いるのです。その開示・非開示のさじ加減も、ビジネスにおける営業的センスが求められる要素だと思っています。

回避すべきこと:技術と営業/マーケティングの断絶

知識量の差と、目的意識の差によるちぐはぐな伝言リレー

装置や機械分野では、最も情報を持っているのは技術サイドであることが多いです。

その技術サイドの情報を、「売れるもの」に加工して伝える媒介となるのが「営業マン」ですが、営業マンを通して情報を得るのが「Web担当者」だったりします。

さらにその先に「Web制作会社」や、弊社のような「Webコンサルタント」が居るわけで、情報は何段階も経て「Web実務側」に届く訳です。

その課程で知識はフィルタリングされ、情報は加工されていくわけですが、結果、ポイントがずれてしまうことも往々にしてあります。

適切なフィルタリングに欠いている

逆に、フィルタリングや加工されていないケースにもよく出会います。Webご担当者様は非技術者であることが多く、技術サイドから言われたことを、わからないからとそのまま載せてしまうのです。

技術の内容やメリット、競合との比較優位性をうまくアピール出来る営業的センスを持ち併せた技術者がコンテンツを用意していれば良いですが、現実問題としてなかなか難しいのではないでしょうか。

本来であれば顧客と直接接している営業マンが、営業現場で見聞きした知見を活かし、組み合わせて用いれば効果は絶大なのに、営業面の知見を活かせていないことも「あるある」です。

また、エンジニアや研究者としては「言葉の定義としての正しさ」にこだわる傾向があるように思います。結果、メッセージの焦点がぼやけたりします。

それに対しては営業・マーケティング側が「見込み客が知りたいのは言葉の正しい定義ではなく、この商品が自分に役立つか否か」であり、それを短時間で判断する材料を提示したいのだ、という話をしっかりしていかなければなりません。それがガチンと噛み合ったときの技術者ほど心強い味方は居ません。

また、社内における営業サイドとマーケティングサイドの価値観のずれも大きな悩みですが、これはまた別の機会に書こうと思います。

2.イプロス等専門ポータルでの活動

業界の製品が簡単に一覧できるという性質から、専門ポータルサイトは多くの企業で活用されています。

その分野のプレイヤーが集まっているので、顧客に見つけてもらいやすいというメリットがありますが、掲載企業からは必ずしも良いとは思われていないようです。

専門ポータルからの問い合せは、受注確度が低い

専門ポータルに載せている企業に「実際効果としてはどうですか?」と話を聞くと、大抵言われるのが「案件の確度が低い」ということ。皆様そのような印象をお持ちでしたが、なぜそうなるのでしょう?それは、手軽さが生んだマイナス面が際立った結果と言えます。

手軽さが生んだ弊害、営業リソースとの兼ね合いで利用は判断

顧客は「多くの会社にまとめて問い合わせして、その中でマッチするものがあればそこだけ聞こう」という、お手軽な情報収集が出来るわけです。顧客が持つ知識レベルが十分に無い場合、それは特に顕著です。そのような案件では確度が低いのは当然で、しかも大量の競合と比べられますので、差別化しにくい製品であれば戦いは「価格競争」となります。差別化出来る製品でも、確度が低い案件に貴重な営業リソースを充てていては割に合わないこともあるでしょう。

ただし、SEOで上位に上げることが難しい商品カテゴリであっても、検討のテーブルに乗るということが出来るかもしれません。そのようなポータルサイトは大抵検索上位に居るからです。

また、今のポータルは分野の製品やベンダーをリストアップすることに特化していて、表示されるのはベンダー側が入力した概要情報だけです。顧客が選ぶ材料としては薄すぎて、問い合わせ・資料請求しないと何も始まらないという構造になっているのは事実です。もし今後、その中で第三者視点での客観的な情報を加えたポータル・メディアが出現したら、情勢は変わるのにと思っています。(当社でやれば良いのではという声も)

3.広告出稿

BtoBの装置・産業機械の広告としては、業界紙、専門誌、専門Webメディアへの出稿等ありますが、それらに手を出しつつも、リスティング広告を基軸にすると立ち上がりが早いです。

マーケティング対象とするモノの競合状況によって大きく変わりますが、競合が厚い場合GoogleやYahoo!の検索結果で上位に来ることが難しい場合があります。そんなとき、GoogleやYahoo!の検索結果画面に表示させる広告であるリスティング広告を使うと、検索結果ページの広告枠に掲載出来るため、スピード感のあるテストマーケティングが出来ます。ただし、費用も掛かりますし、検索エンジン対策とは異なり、出稿しないと効果ゼロになりますので、コンサルティングではリスティング広告と併用しつつも、徐々にSEO主体でアクセスを集められるようにシフトしていく方式を取ることが多いです。

まとめ

「装置・産業機械のWebマーケティングは、
内容のわかりやすさと情報開示のバランス感が命」

現在お付き合いがあるWeb制作会社様・広告代理店様で、ここに書いてあるようなことが出来たら理想だと思いますが、現実問題として難しいようです。

制作会社や広告代理店のビジネスモデルは、「たくさん作る」ことや「たくさん広告を出す」ことで儲かる構造なので、1社の顧客のためにとてつもなくニッチで、他に転用出来ないような狭く深い勉強を社員にさせる(≒強いる)のは現実的では無いようです。

しかも、その知識があっても、知識を生かすマーケティングの力量や営業的センスが無ければ、結果が出るものに繋がりません。
そのため、企業様の内部で営業的センスのあるWebマーケティング担当者を育成するか、又は弊社のような、ニッチ知識を得ることに喜びを感じる変わったマーケティング会社に依頼しながら、社内にノウハウを貯めて頂くのが良いのではと思います。

この記事のメイン制作者

imagesコンサルタント 上田

東証一部上場の専門商社にて営業職に就き、ルート営業、新規開拓営業、展示会営業等を経験した後、Web制作とWebシステム開発の会社を創業。その後再度独立しフリーランスとして大手メーカーのグループ全社Webコンサルティングや、グローバル企業のWeb改善プロジェクト、中小企業のWebコンサルティング等に従事し、2011年に当社設立。代表コンサルタントとして現在も前線で業務に従事しながら、経営・社員のマネジメント・育成・事業開発に勤しんでいます。最近ダイエット中で、お腹回りが10cm縮みました。

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