2019.11.14
【重大な誤解】コンテンツマーケティングとはブログ記事を書くことではない。
コンテンツマーケティングが意味することとは、ブログ記事を書くことではありません。
コンテンツマーケティングとは、ユーザに役に立つコンテンツを提供することにより接点を生み出し、コンテンツに触れてもらうことで関係性を築き、その内容によって態度変容を起こすこと。そして結果的に顧客化するという取り組みです。
このコンテンツを最も作りやすいのが「ブログ記事」であるというだけで、コンテンツマーケティング=ブログ記事を書くことという誤解があるように思えます。
ブログ記事の他にも、あらゆる形式のコンテンツがコンテンツマーケティングの構成要素です。
コンテンツの種類
FAQコンテンツ
ユーザが知りたいことに対する1問1答形式のコンテンツです。FAQページにまとめる場合と、各ページに差し込む場合があります。ハテナマークをクリックするとピンポイントで脚注が出るツールチップ形式も、FAQコンテンツの一種と言えるでしょう。
PDF資料/ホワイトペーパーDL
PDF資料にすることで手元に残してもらえるという効果があります。単なるサービス紹介資料ではなく、ユーザにとって役に立つ情報がガイドのようにまとまっていれば、何度も見返してくれるかもしれません。
そのような接点を保つという狙いとしては手元に置いてもらうという価値以外に、ダウンロード時にメールアドレスを取得することで様々な施策に活用出来ます。
メール
メールマガジン/ステップメールといったメールの内容自体も立派な(重要な)コンテンツです。テキストメールの形式とHTMLメールの形式があります。伝えたいこと、商品/サービスの性質、ターゲットの性質等を勘案して設計しましょう。
また、マーケティングオートメーションツールに登録させWebサイト内行動と連動したアクションの自動化を行うことも出来ます。その際の出し分けで提示される内容もコンテンツです。
SNS投稿
自社Webサイトから離れたとしても、ユーザが触れるものはコンテンツと言えます。Facebook、Twitter、Instagram、BtoCであればLINE公式アカウント等も。
媒体によって適したフォーマットが異なり、テキスト情報、写真だけでなく、インフォグラフィックスや短時間の動画なども有用です。
調査レポート
アンケートを取得し、その結果を調査レポートとして世に出す方式のコンテンツには、誘因力があります。
内容がセンセーショナルであったり、新たな気付きがあるものであればSNSで言及・拡散されることもあるでしょう。結果、御社の認知を拡げることにも繋がります。
アンケートはアンケート事業者に依頼すれば、安くて数万円程度の予算から取得可能です。自社の顧客に対するアンケート調査を行い、それを公開するという手法もあります。
顧客事例
取材を行い、顧客の導入事例を公開するものです。
機密性の高いサービス・製品を取り扱っている事業形態の場合、軽々しく顧客の実名や内部の戦略・情報について流すことは許されません。(顧客の競合がその事例を見て参考にする/真似をするとも限らないためです。)
事例掲載が可能と思われる業種であっても、その際は必ず事前に相手方の了承を取り付けましょう。
How To情報、Know How情報
やり方、知識、方法について教えるコンテンツです。
ユーザニーズを捉えるコンテンツを考える際に、取り組みやすいものです。
ユーザが検索エンジンで検索する際の意図として、Knowクエリ(情報を得たい・知りたい)、Doクエリ(購入したい、ダウンロードしたい、観たい等)、Goクエリ(その場所に行きたい)という考え方があります。このうち、ノウハウ系コンテンツはKnowクエリに対応し上位表示しやすいため、SEO面でも価値が高くなりやすいコンテンツと言えます。
動画コンテンツ
回線速度の向上やPC/スマートフォン端末の処理速度向上もあり、もはや動画というものは特別ではなく、一般的なものになりました。
文章で説明しにくい時系列変化があるものや、そのものを見せた方が早いものについては、動画が有効です。
金額はテキストコンテンツよりも高くなる傾向がありますが、便利で使いやすいオーサリングソフトの登場や、動画素材の充実、スマートフォンを用いたお客様による簡易な撮影等で、コストダウンすることも容易な時代になりました。
郵送物
コンテンツマーケティングという概念を、Webに閉じておくのはもったいないと考えます。資料請求された際の紙媒体についても、コンテンツと考え全体設計の一要素としてより活用度を高めることは有益と考えます。
コンテンツマーケティングとは、安いブログ記事の量産ではない
ここでお伝えしたいのは、ブログ記事という言葉がイメージさせる簡便さに対する問題です。コンテンツマーケティングの記事作成代行を行っている事業者に問い合わせると、分野により1本数万円から10万円程度の見積になってくるでしょう。
過去、クラウドソーシングにて激安記事コンテンツを量産する手法が流行した時代がありました。内職のアマチュアや学生アルバイトがコピペと切り貼りで作るコピーコンテンツが大量放出され、Webはスパム情報の山と化しました。その顛末はニュースで連日話題となりましたので、Web業界外の人もご存知かと思います。またそのような記事コンテンツを大量に掲載していた別の大手業者の事業閉鎖も象徴的と言えます。
そのような手法は既にGoogleによって対策され駆逐されましたが、人々の心に負の遺産を残してしまいました。
「コンテンツマーケティング=安価なブログ記事を量産する手法」という思い込みです。
「単なるブログ記事を書く」ものだと思っていれば、何の調査も不要で、1~2時間で容易に書けてしまうものだと思われるかもしれません。しかし、そうではないのです。本気でやれば1日~2日、コンテンツの種類・形式によっては丸1週間平気で掛かってしまうでしょう。
コンテンツマーケティングで実利成果に向き合うのならば、手間が掛かるのは当然のこと
各コンテンツが効果を生むには、戦略・分析に基づいた上で過去のデータを踏まえユーザ像のアップデートを繰返し、既存コンテンツをチューニングしながら行う必要があります。
新たに作るコンテンツは、誰の・どんなシーンの・どんな思考の発露に対し対応し・何に触れさせ・どう導くのかを緻密に設計していく必要があります。そうでなければ精度高い施策は打てません。
以前はWebで啓蒙を行うのはほぼ不可能とされていました。Web集客は顕在化したニーズ(=明確な検索行動)にしか対応出来ないというのが一般的な論調だったのです。それが、コンテンツマーケティングの登場によって潜在ニーズにも対応出来ことが示され、Webマーケティングは進化しました。だからこそ尚のこと難しい。
もし啓蒙を行うのであれば、そこには気付きを与える必要があります。ユーザの顕在化した疑問(=顕在ニーズ)に対し愚直に答えを返すだけでなく、そこにビジネス側の意図(=伝えたいこと、ビジネスニーズ)をうまく乗せていく必要があります。しかもそれを、企業イメージやスタンスについて一貫性を維持しながら、ユーザが読みやすく、情報を受け取りやすい形で。さらに当然ながらSEOも根底に置いて。
それはとても難しいので、弊社ではコンテンツマーケティングの企画設計は、ライター(文章を書く専門職)ではなく、Webコンサルタント及びアナリスト(分析・戦略立案する専門職)が行います。それが例えブログ記事の体裁であっても、担当するコンサルタント及びアナリスト自身が少なくとも大構成レベルまで落とし、時にはライティングまで行い、最終成果物が効果を発揮するようブラッシュアップしています。
コンテンツマーケティングで最も重要なのは、正しいユーザ理解に基づく全体設計されたコンテンツ展開。
コンテンツマーケティングの肝は、ユーザの役に立つコンテンツを提供することにあると言いました。ですが、ユーザの役に立つかどうかというのは、ユーザを理解していなければわからないのは当たり前のことです。そして、コンテンツマーケティングがマーケティングのいち手法であるとしたら、当然最終結果を意識すべきです。
成果を出そうと本気で思えば、Webサイト全体の体験設計に基づくストーリーの中で最も効果を発揮するコンテンツの出し方を考えることになります。であれば、取り組みはブログ記事という枠に留まるわけがありません。あくまでブログ記事という掲載枠の活用は、いち手段でしかないのです。
ブログ記事コンテンツを月○本作ります、というサービスを、結果を出すことを目的としたWebマーケティング施策として提供するとしたら、作りっぱなしではダメで、結果について観測しながらチューニングすることが必須のはずです。
コンバージョンやその先の受注率・顧客の最終利益にまで意識するのであれば、全体で一気通貫したストーリーが根底にあるべきであり、であれば最低でもコンバージョン率についてしつこく追って行かなければならないはず。そうなれば、ブログ記事だけ見ているのでは不十分で、本体Webサイトの改善にも入るべきでしょう。
「コンテンツマーケティングは半年~1年は結果がでないことを覚悟すべきだ」という論調がこの業界にはあります。その考え方は正しく、そうでなければコンバージョンに遠いコンテンツを作って行けないので、現実を見ていると思います。
しかし、その論調を錦の御旗に、結果が出ないことをさも当たり前のこととして処理してしまう甘えが、我々サービス提供事業者側に無いのだろうか?と常に自問自答しています。
弊社のメンバーは、いつもヒリつくようなプレッシャーの元取り組んでくれています。
だからこそ結果が出ると、クライアントと一緒になって心から喜べるのです。
コンテンツマーケティングの「コンテンツ」とは、ブログ記事に限定するものではない。顧客に提供されるあらゆるものがコンテンツである。
Webサイトを離れメールや郵送物まで含めて、コンテンツと考える。つまり、ユーザ体験そのものを構成する要素がコンテンツであり、ただブログ記事を書けば良いというものでは無い。
本気で成果を出そうとすれば、1記事数千円の格安とは行かない。
「半年~1年は結果が出ないことを覚悟」という論調は正しくもあるが、そこに甘えて結果に向き合わないスタンスは良くない。
短期、中期、長期の目線で複合的に考えて成果を出すよう取り組むのが理想。コンテンツを作ると同時に、コンテンツの価値最大化と継続改善のコンサルティングをセットで導入することを推奨。
この記事のメイン制作者
東証一部上場の専門商社にて営業職に就き、ルート営業、新規開拓営業、展示会営業等を経験した後、Web制作とWebシステム開発の会社を創業。その後再度独立しフリーランスとして大手メーカーのグループ全社Webコンサルティングや、グローバル企業のWeb改善プロジェクト、中小企業のWebコンサルティング等に従事し、2011年に当社設立。代表コンサルタントとして現在も前線で業務に従事しながら、経営・社員のマネジメント・育成・事業開発に勤しんでいます。最近ダイエット中で、お腹回りが10cm縮みました。