2019.02.07
複数の商材を持つ会社におけるWebコンサル対象製品の選び方
ざっくり全体改善 VS 特定商品に集中改善
いくつもの製品取扱いがある専門商社やメーカーにおいてWebマーケティングコンサルティングを依頼するとき、ざっくりと「Web全体の改善をしてください」という依頼の仕方をしたら良いのか、それとも特定の商品に絞って依頼するのが良いのか、というお話です。
リアル営業の場合は、注力する製品/分野を決めるはず
営業では、商品がたくさんあるから、ざっくりとこれらを売ってこいと言われても、簡単に売れるものではないでしょう。
自分がどの商品に注力して取り組むのか決め、それに対してどう売るのかを徹底的に考え抜き、売れそうかどうかのテストを行い、方向が合っていることを確認すれば行動量を上げていく、ということをするはずです。
だけど、Webでは実際どうなの?
「営業ではそうですが、なんとなくWebではテクニカルな部分の全体改善も効果がありそうな印象があります。実際のところWebマーケティングではどうなんですか?」という疑問にお答えします。
基本は、商品が多すぎる場合、市場毎にフォーカスして取り組むべき
例えば商品が200種類あるとして、それらが同じジャンルのものであればあまり悩むことは無いです。例えば、少しずつ仕様が異なる200種類のクリーンルームを売っている、とか(そんな恐ろしい会社は聞いたことが無いですが)。
これが商品によって、ターゲットもバラバラ、ニーズも用途も全く異なるものである場合、状況は変わります。
ざっくりと「全体の改善をしてください」と言われた場合、コンサルタントは表面的なあたりまえのことしか出来ず、突き抜けた結果を出すことは難しいでしょう。なぜなら、そのようなバラバラの商品は、それぞれ全く違った1つの市場を形成していて、その市場毎にマーケティングが必要だからです。
絞りきれないケース
以前代理店経由で、年商数千億円規模の企業様のグループ全体のWebマーケティングのコンサルティングをして欲しいというご相談を頂いたことがあります。
お話を伺ってみるとこのような「ざっくりとした」ケースでしたので、必ずしも弊社である必要は無いと考えお引き受けしませんでした。経験的にはより大きな企業グループ様の全社ユーザビリティコンサルティング等も行って来ましたので、大枠でのユーザビリティ改善は出来る自信がありますし、マーケティング面ではテクニカルな部分でのSEO改善等は出来ます。しかしそれだけしか触れられず中身に踏み込めないのであればもっと適任が居るだろうと。
大企業は小さな市場が無数に存在する複合体
そのような規模の企業様では、当然ながら単一の製品・単一の市場で成り立っていることは希で、数えていると気が遠くなるほどの製品・サービスを扱われています。
売上高1兆円規模の商社様では1万種類の事業(取扱い商品)があり、平均すると1つあたり1億円の事業という話を聞いたことがあります。
感覚的には年5,000万円~数十億円規模のビジネスに分割して、その単位で取り組まなければ「競合をぶっちぎっての大成功」というのはなかなか難しいです。
ちなみに弊社は、その分野では負けない自信があるこだわりの専門事業のマーケティングが得意です。(なので、「成長企業」「中堅企業」「大企業の事業部門」専門と銘打って活動しています。)
フォーカスする商品(市場)選定の大原則
Webマーケティングの対象とする商品を選ぶ場合、まず「その市場で勝てる可能性がどれくらいあるか」を見極めなければなりません。
当然ながら「やってみなければわからない」ものですが、調査時点で「これはやめておいた方が良い」とわかるものもやはりあります。その見分け方をご紹介しましょう。
【原則1】商品・サービスそのものに、競争力があるものを選ぶ
つまり、営業でニーズのある顧客に当たれば「売れる」し、コンペになっても「勝てる」売り物であるということ。
せっかく問合せを獲得出来ても、その後の商談で受注しないのであれば意味がありません。
特に最初のプロジェクトとして選ぶ商品は「検討のテーブルにさえ乗れれば、勝てる自信がある」という商品にすることをお勧めします。そうすることで営業面の貢献成果が出やすく、周囲もマーケティングコストの発生に納得し、営業現場や経営サイドとの協力関係が築きやすくなります。
魅力が無いものにお化粧をして売れるようにすることがマーケティングの仕事かというと、私はそうではないと考えています。価値あるものを、その価値を必要とするところに届けるものだと考えています。
今はリアル営業でも売れていない場合
「じゃあ営業で商談しても売れないこの商品、どうしたらいいの」という場合。
御社の商品・サービスを価値あるものだと考えてくれる(=必要とする)顧客を見つけるのもまたマーケティングの仕事です。そのような探りを入れるマーケティングを、テストマーケティングとも言います。
提示の仕方を工夫して、ニーズと価値をマッチングさせれば良いわけです。「この業界向けに売っていたけど全然売れなくて、別の業界に持って行ったらバンバン売れた」とか「用途を変えてアピールしたら売れるようになった」などは、そういう話です。今売れていなくても、「潜在的に売れる力を持っている」ものである必要があります。
【原則2】競合のWebマーケティングが強すぎない分野を選ぶ
例えば、競合となる会社が何十社もあり、上位は大手で固まっていて、それらを抜くためには時間・労力・資金力が掛かりすぎて現実的ではない場合です。
ですが、これも一概には言えません。いかに競合の層が厚く強くても、競合と異なる切り口でアプローチすることで成果が出せる場合があり、状況の見極めとスモールテスト、"競争軸のずらし"で競合を回避しながら戦える場合もあります。これはまた後日書こうと思います。
【原則3】そもそもWeb市場が小さすぎない分野を選ぶ
製品のWebマーケティングにおいて、集客のボリュームゾーンとなるのはやはり検索エンジンです。Google/Yahoo!で検索した人=検索しているものに何らかのニーズがあると言えます。
月に何回ぐらい検索されているか=Web市場規模を把握しよう
検索エンジンの「Google」に掲載出来る「Google広告」でアカウントを開設すると、どんな言葉で月に何回程度検索されているかというデータを得ることが出来ます。この調査をするためのアカウント開設は無料で出来ますので、是非やってみましょう。
例えばキーワード「圧力計」では月間4,400回検索されているのですが、総合的に見てこのくらいの数字があればこの分野の製品について十分にWeb市場がある(=取り組む価値がある)と判断します。ですが、「クーラント自動希釈装置」では月間50回で、あまり検索されていないニッチな市場と言えます。そのため、自社のビジネスモデルを確認しながら取り組む価値があるか判断する必要があります。
ここで、なぜビジネスモデルを確認しながら総合的な判断をするのかというと、BtoBの場合それでも十分ビジネスとして成り立つ(というか、うまくはまれば儲かる)ケースがよくあるからです。
経験上ですが、ニッチBtoBの分野では、サイトに訪問したユーザ数に対する問い合わせ(=案件発生や資料請求)の発生率は、10%に達することもあります。
このケースであれば、クーラント自動希釈装置はGoogleで月間50回検索されていますので、Yahoo!も同等と考えると、約100回程検索されていることになります。
同一人物が複数回検索している場合もありますので一概に言えませんが、だいたい100件くらいのニーズがあると考え、その中の10%が実際に購入を検討していると推測します。
導入に至れば高額な産業機械が複数台入ることになります。そこで実績が出来れば、同じ顧客の他の工場やプラントにも導入されるかもしれません。
Web市場規模が小さくても十分成立し、価値がある場合があるというのはこのようなケースです。
(尚、ここで挙げた圧力計やクーラント自動希釈装置は、数値の参考として挙げたのみであり、弊社が既存顧客にコンサルティングを行なっているわけではありません。)
また、検索市場が小さくとも「悩み・課題」が明確な場合は、悩みワードでの集客を考える方法もあり、それはまた別の機会に記事にするか、またはお問い合わせ頂ければ個別にお話致します。
Web集客のコンサルティングの対象とするのは「広くざっくり」より「狭く深く」の方が結果が出やすい。
まずは可能性が大きな、競争力のある商品・サービスから取り組み、Web市場における勝ち癖を付けるのが良い。
対象とする製品は、「製品としての競争力がある、潜在的に売れる商品」であり、「競合のWebが強すぎず」、「Web市場が小さすぎないこと」が基本。
ただしやりようによってはハマる場合があるので、諦めず個別判断。
わからない場合は、当社にお問い合わせ頂ければ無料でお調べ致しますよ。
この記事のメイン制作者
東証一部上場の専門商社にて営業職に就き、ルート営業、新規開拓営業、展示会営業等を経験した後、Web制作とWebシステム開発の会社を創業。その後再度独立しフリーランスとして大手メーカーのグループ全社Webコンサルティングや、グローバル企業のWeb改善プロジェクト、中小企業のWebコンサルティング等に従事し、2011年に当社設立。代表コンサルタントとして現在も前線で業務に従事しながら、経営・社員のマネジメント・育成・事業開発に勤しんでいます。最近ダイエット中で、お腹回りが10cm縮みました。