2019.11.13
Webマーケター育成は難しい?Webコンサル会社の人材育成の取り組みを公開します。
社内のWeb担当者をWebマーケターとして育てることは様々な価値があります。
しかし、それは容易なものではありません。
言われたことをそのまま実行するだけなら容易にできても、集客という結果を求めるとなるとハードルは一気に上がります。
では、どのように育てるか?
弊社での、未経験入社の新人の育て方をご紹介します。
前提
自分で1から制作はできなくても、Webサイトに関する基礎知識は持っていること
(Webサイトやインターネットの基礎知識、HTML/CSS/JSの基礎知識)
初期導入研修により、意識・知識・安全な環境での実践経験を与える
- プロとしてのマインドセット
- Webサイト、インターネットの仕組み(IP、ドメイン、DNS、SSL、URL)、デバイス・閲覧環境(PC/タブレット/スマートフォン、OS、ブラウザ)
- HTML/CSS基礎
- CMS概念基礎
- 制作ツール(ローカルWebサーバ、エディタ、バージョン管理システム)
- マーケティング基礎
- Webマーケティング基礎、SEO、広告、コンテンツマーケティング
- Webマーケティング戦略策定、ユーザ体験設計、情報設計(座学及び仮想案件、又は社内プロジェクトでの実践)
- ユーザビリティ/アクセシビリティ(座学及び社内プロジェクトでのユーザビリティ評価)
- Webに関わる権利関係
- セキュリティ、情報管理
弊社内では入社時、あらゆる職種の社員にこれら研修を行います。
コンサルタント、デザイナー、HTMLコーダー、総務でも変わりません。
以前働いてくれていたパートの人事総務さんは、研修をしてみると明らかに情報設計のセンスを持っておりました。
才能というのはどこに出るかわからず面白いものだと思いました。
プロジェクトに参加し、実務ではどう適用するのかを知る
座学や模擬体験では、その1歩目を踏み出したに過ぎません。
このレベルでは通常実案件では役に立ちません。
プロの仕事を見て、プロジェクトメンバーとして参加し、自分事として目の前の問題解決しなければならないWebサイトに向き合い、結果の良否も自分事として受け止める主体的体験が、メンバー育成には欠かせません。
Webサイトリニューアルや新規立ち上げ支援プロジェクトにおいてコンサルタントやアナリストの業務補助(調査、情報収集、パターンの洗い出し等)を担いプロジェクトに参加。
自分が担当する作業を通して、座学では身につかないことを経験として学びます。
「この顧客の場合、どうすれば結果を出せるのか」成功パターンを探る方法・思考の使い方、それを具現化するために戦略からデザイン・実装までどう繋がりを切らさずに設計していくのかを、既に多くの結果を出してきているコンサルタント・アナリストと一緒に、プロジェクトメンバーの一員として参加しながら「体験」します。
継続改善コンサルティングでの、コンサルタント・アナリストが策定した改善施策の実行(HTML修正など、スキルに合わせて)
Web改善の現場を知る。どんな情報を元にどんな判断がなされているのか?何をするとどう集客が動いていくか、反響率が変わっていくのか?
自分ができることの範囲で参加し、わからないことの意味を聞いたり自分でも調べたりしつつ、役に立ちながら体験していきます。
アクセス解析等を行い変化を観測し、仮説が正しいものであったか検証し、もし想定とのずれがあれば何が相違点なのかを一緒に考察し、次の打ち手を考えます。そのような「作業」に閉じず、作業者の前にいちプロジェクトメンバーであるという参加者意識をもって取り組むことで、学びは何十倍にも深まります。
ある程度経験したら
現在状況と過去の実施施策を元に、改善施策を考えてみます。
改善施策を考えるのに必要な要素として、下記があります。
- 改善の打ち手を多く知っていること
- 対象Webサイトの理想像を持ち、ギャップを見つけられること
- 対象Webサイトのユーザーの行動傾向を知っていること
そして考えた施策を「自分の施策として実行してみて、その結果を受け止める」という主体的な体験を重ねることで、Webマーケターとしての成長が得られると考えています。
同じ作業実行だとしても「他人に言われたから実行しているだけ」という意識の人と、一度自分の中で情報を咀嚼し、「これはこういう背景があるから正しいはず、やってみて反応を見たい」と思って実行する人では、得られる経験価値がまるで違うのは想像に難くないと思います。
もし御社がWebマーケターを育てたいなら、人選が最も重要
Webマーケターの仕事は流れ作業ではありませんので、自分で考えて主体的な取り組みをする人を選ぶべきです。
受け身でやらされ感がある人では、いくら知識を教えてプロの仕事を見せたとしても吸収しませんので、その方面では大成しないはずです。
もし主体性の有無ではなく「ホームページ制作の知識があるから」「HTMLが書けるから」「資料デザインやイラスト、ITが得意だから」という理由でWeb担当者を選んだのであれば、無理にWebマーケターとして育てる/勉強・成長することを強要するより、得意な部分を活かして気持ちよく働いてもらう方が健全かもしれません。
指示を着実にこなすタイプの人であれば、主体性を持った司令塔を他の人に任せることで良いチームになるはずです。
司令塔はWebの最低限の知識を持つことが理想ですが、もし無ければコンサルタントが支援することも可能です。御社独自のWeb改善成功の型を作りながら、継続して回していける支援が可能です。
この記事のメイン制作者
東証一部上場の専門商社にて営業職に就き、ルート営業、新規開拓営業、展示会営業等を経験した後、Web制作とWebシステム開発の会社を創業。その後再度独立しフリーランスとして大手メーカーのグループ全社Webコンサルティングや、グローバル企業のWeb改善プロジェクト、中小企業のWebコンサルティング等に従事し、2011年に当社設立。代表コンサルタントとして現在も前線で業務に従事しながら、経営・社員のマネジメント・育成・事業開発に勤しんでいます。最近ダイエット中で、お腹回りが10cm縮みました。