2019.11.01
Webで結果を出したいときに有効な「マイクロコンバージョン改善」って何?どうやったらいいの?具体的な事例をご紹介!
成果が出ないWebサイトを改善する方法として、リニューアルの他に「マイクロコンバージョン改善」があります。
マイクロコンバージョン改善は少ない予算で、簡単に実行できるため、Webサイトを改善する際、有効な施策です。
当ページでは、マイクロコンバージョン改善とはどういうものかを解説します。
さらに「具体的にどのように実行すればいいか分からない」という方へ向けて「当社の改善事例」をご紹介いたします。
「マイクロコンバージョン改善」なら小予算で実行可能
店舗に例えると、リニューアルは「更地にして建て直し再起を図ること」ですが、それに対してマイクロコンバージョン改善は下記のような「小さな改善」を指します。
「マイクロコンバージョン改善」を店舗で例える場合
次のような改善が「マイクロコンバージョン改善」に該当します。
- 看板を工夫する
- 入りやすい雰囲気にこだわった入り口にする
- 接客の細やかな気遣いを加える
- パンフレットを顧客目線で見直す
- 申込用紙を簡略化したりわかりやすくする
リニューアルのように「更地にし再建する」のではなく、小さな改善を積み重ねていきます。
マイクロコンバージョン改善とは、日々、様々な施策を行うことでビジネスにおけるボトルネックを解消し、結果が出るWebサイトへと改善していく手法です。
マイクロコンバージョン改善で行う施策は、店舗の例で挙げた通り、ローコストで実行可能なため、手間や予算がかからないというメリットがあります。
マイクロコンバージョン改善のメリット
- 小予算から実行可能
- 実行する際、大きな手間がかからない
マイクロコンバージョン改善は、小予算で実行できるごく単純なものですが、Web集客の原則に則った施策です。
正しい手順で実行することで、成果が出ないWebサイトを、成果が出るWebサイトへと変えることができます。
マイクロコンバージョン改善とは
マイクロコンバージョン改善は、商品/サービスの「お問い合わせ」へ至る前に、見込み客が離脱することを防ぐ施策です。
図の通り、Webサイトでは「お問い合わせ」の前段階のどこかで離脱が起こります。
離脱する見込み客を減らし、次のページに進むユーザを増やすために、Webサイトを改善します。これがマイクロコンバージョン改善です。
例えば、次のような施策を実行します。
- ターゲットに合わせたメインビジュアルの変更
- SEOを考えたテキストの修正
- 次のページへ進むためのリンクの設置
集客で機能するWebサイトには、主導線(閲覧のストーリーに乗せて反響まで繋げる勝ちパターンの流れ)があります。
正しく主動線が設計されている場合、ユーザはスムーズに商品・サービスを理解し「お問い合わせ」へと至ります。
お問い合わせに辿り着く前でロストする見込み客をいかに減らし、必勝のストーリーを最後まで進ませるかが勝負です。
マイクロコンバージョン改善を行い、中間地点のロスを減らしていくことでゴール(お問い合わせ)へと導きます。
「ユーザはどこで離脱しているのか」を分析し改善する
マイクロコンバージョン改善では、離脱する見込み客を減らし、ゴールまで導く必要があります。
そのため、実際にマイクロコンバージョン改善を実行する際は、ユーザ(見込み客)の行動を考えると良いでしょう。
ユーザの行動
- 検索エンジンからあなたの会社のWebサイトに訪問する。
- メディア記事やコンテンツなどのページを閲覧する。
- 商品/サービスの説明ページに辿り着く。
- 商品/サービスの購入や問い合わせをする。【ゴール】
ユーザはGoogleやyahoo!といった検索エンジンから、あなたのWebサイトに訪問し、様々なページを閲覧して、ゴール(購入・お問い合わせ)へ至ります。
ゴールに至らないケースでは、この流れのどこかで離脱が起きているか、そもそもWebサイトに辿り着いていないと考えられます。
さて、あなたのWebサイトの問題はどこにあるでしょう。
「問題」は「ユーザの行動」から考えます。
ユーザの行動 | 考えられる問題 |
---|---|
検索エンジンからあなたの会社のWebサイトに訪問してくれない | 検索エンジンでヒットしない、順位が低い、クリックされない |
広告をクリックし、着地したページを閲覧せず直帰する(直帰率が高い)、広告の効率が悪い | 広告で提示している内容と、着地先のページの内容に食い違いがある |
着地したページを見て、すぐに見るのを止めてしまっている(直帰率が高い) | ページの内容がユーザのニーズと合っていない |
商品/サービスの説明ページが閲覧されていない(商品/サービスの説明ページに辿り着いていない場合も含む) | 回遊性が悪い、途中で離脱する要素がある、意欲を喚起できていない |
商品/サービスの説明ページは閲覧されているが、購入・問い合わせ数が少ない | 該当ページで、十分魅力やベネフィットを訴求できていない、差別化できていない |
購入・問い合わせ数が少ない | 会社やWebサイトの信頼感が不足している |
SEOに問題はない(訪問者数は多い)が、Webサイトが閲覧されていない | 連絡手段が使いにくい、わかりにくい、負荷が高い |
このようにユーザの行動から考えられる問題を洗い出し、問題を解消するように、Webサイトを改善します。
次は「どのように問題を洗い出し、改善を行うと良いか」実際の事例と併せてご紹介いたします。
【事例紹介】当社の改善事例
このケースは、当サイトが正式リリースされた直後の、初期段階での実改善事例です。
(今は更に改善が進んでおり、当時の状況とは異なりますがご了承ください。)
分析による「問題」の発見
Web改善は、改善によるインパクトが大きいものから行うのが基本です。
まずアクセス解析による「定量分析」を行い、数的インパクトが最も高いボトルネックを探しました。
定量分析
数字で表せる量としての分析をアプローチの基盤とするものです。例えばGoogleアナリティクスをはじめとするアクセス解析による数値データをファクトの足場としたり、SearchConsoleで検索エンジン(Google)での表示/集客状況を確認したり、ヒートマップによるユーザ行動の可視化等を基礎とし、それらを元に仮説立てします。その際は、数字を足場に背景で何が起こっているのか推測し、ロジックツリーを用いて論理展開したり、他の要素と複合的に考えます。
次の画像は、Googleアナリティクスの「行動フロー分析」です。
赤い部分が「このページで離脱している割合」です。実数も見ることができます。
Googleアナリティクスの「行動フロー分析」は、現時点でのWebサイト全体の利用状況を俯瞰して見られるため、初期改善でのボトルネック探しに有効です。
このケースでは、TOPページでの離脱が最も多いことがわかりましたので、TOPページでの離脱を防ぐ施策を考えます。
ただし、離脱を防ぐだけでは芸がありません。
設計上、最も進んで欲しいストーリーに乗せる(主導線に誘導する)ことも考えたいです。
当社サイトの主動線は、まず「TOPページ」に着地してもらい、そこから「当社の強みページ」を見てもらうという設計です。
離脱を防ぎ、次のページへと導くためには、ユーザにTOPページ下部に配置されている「主導線ボタン」をクリックしてもらう必要があります。
では「主動線ボタン」のクリック率はどの程度なのでしょうか。
実際の数値がどうなっているのか、Googleアナリティクスで確認しましょう。
「主動線ボタン」のクリック率の把握
現状、Googleアナリティクスを見ると、アクセスのうち15%がボタンをクリックし、次のページに遷移しています。
逆に言うと85%の人は狙い通りに動いていないということです。
ボタンのクリック率を上げることで、取りこぼすユーザ(現状:全体の85%)を減らし、TOPページから「当社の強み」へと遷移させる対応が必要です。
「当社の強み」の閲覧率は?
主動線ボタンをクリックしてもらうためには、ユーザに「主動線ボタン」が配置されている「当社の強み」エリアまで辿り着いてもらう必要があります。
では、現在「当社の強み」の閲覧率はどうなっているのでしょうか?
「閲覧率」の確認は、Googleアナリティクスだけでは行えません。
この分析には「ヒートマップ」を使用します。
ヒートマップ
ヒートマップは、ユーザのページ内での行動を可視化するツールです。
このツールをWebサイトに導入することで「Webページがどこまでスクロールされて、どこでユーザが離脱しているか」というような具体的な情報を数値で確認することができます。
ヒートマップは、1ページのみ等、範囲を限定すれば無料のものもあります。有料でも、安いものは月1万円前後で利用できます。
ヒートマップを見ることで「ユーザがどこまでスクロールしているか(=どこまで閲覧しているか)」が、数値で表示されます。
ではヒートマップを活用し「当社の強み」の閲覧率を見てみましょう。
ヒートマップを見ると「当社の強み」エリアの閲覧率は「45%」であることがわかります。
半数以上のユーザはTOPページ下部に配置されている「当社の強み」を見ていないという結果です。
問題箇所の把握
ユーザが「当社の強み」まで閲覧していないということは、「当社の強み」エリアの前に問題があるということです。
では、ページのどこに問題があるのでしょうか?
ヒートマップを見てみましょう。
色に着目してください。
- 暖色(赤)→閲覧されている箇所
- 寒色(青)→閲覧されていない箇所
ですが、暖色(赤)から寒色(青)に変わる中間色、つまり黄色〜緑色の箇所で、閲覧率が下がっています。
拡大して見てみましょう。
ヒートマップを見ると、ユーザの具体的な動きがわかります。
これを見ると「当社の強み」上部エリアに入ったところで、20%のユーザが離脱していることがわかりました。
「閲覧率が下がっている箇所」は「ユーザがページに興味を失う箇所」です。
つまり、ここがTOPページの問題点だと言えます。
定数分析によって明らかになった問題点
- 【問題1】「当社の強み」の閲覧率が悪い。
- 【問題2】「主動線ボタン」のクリック率が悪い。
定数分析によって、上記2つの問題が明らかになりました。
マイクロコンバージョン改善によって、上記2つの問題の解消を目指します。
どう改善するか
定量分析の観点から「ユーザがどこで離脱しているか」という現状を把握し、問題点が明らかになりました。
では、問題を解消するためには、どう改善すれば良いのでしょうか。
それに関しては「定性分析」の観点が必要です。
定性分析
数字で表すことができない質としての分析です。
例えば実ユーザがどう使っているのか観察したり、コンサルタントやアナリストの専門家としての知見から課題の本質が何であるか思索し、仮説立てします。
このケースでは、一般情報的なコンテンツが長いことが課題として計上されました。
仮説
ユーザは、実績を閲覧し「じゃあ具体的なことが知りたい」と思ったものの、長々と当たり前の情報が続いたことで面倒になり、見る気を無くしたのではと仮説を立てました。
離脱が起こっている「問題箇所」の前には実績が記載されています。
実績を閲覧したユーザは「具体的な情報」を早く知りたがっているはずです。
しかし実際の掲載情報は、ユーザが欲しがっている「具体的な情報」ではなく、一般的な情報がダラダラと掲載されています。
離脱の原因は?
「ユーザが求めている情報」と「Webページに掲載されている情報」がズレていること。
- ユーザが求める情報:「当社が何を提供しているか」という具体的な情報
- 掲載情報:一般的な情報
【仮説】自分が欲しい情報が掲載されていないため、ユーザは興味を失い、離脱していたのではないか。
仮説に基づいた改善の実施
ユーザのニーズと、掲載されている内容がズレてしまったがために、ユーザが離脱しているのではないかと仮説を立てました。
ということは、ユーザが求めている「当社のサービスと関連した具体的な情報」に早く辿り着ける状態に改善すると良いということです。
その対応として、縦並びで配置していた要素を横並びにし、かつボリュームを圧縮することで、縦のサイズを短くしました。
ユーザにとってより「意味/価値」がある内容にすぐ目に触れることができる状態へと改善し、その先の主導線ボタンのクリック率向上を狙います。
マイクロコンバージョン改善の結果
今回のマイクロコンバージョン改善は、TOPページの「2つの問題」を解消するために行いました。
TOPページの「2つの問題」
- 【問題1】「当社の強み」の閲覧率が悪い。
- 【問題2】「主動線ボタン」のクリック率が悪い。
果たして、この問題は解消したのでしょうか。
結果は次の通りです。
マイクロコンバージョン改善によって、TOPページに起こっていた2つの問題が解消しました。
よって、改善成功と言えます。
【問題1】閲覧率の改善
改善前は、TOPページで「当社の強み」に到達する前に、半数以上のユーザが離脱していました。
当社の強みの閲覧率は「45%」。
しかし、マイクロコンバージョン改善を行なったことで、閲覧率が「66%」に改善しました。
「問題箇所の要素を横並びにする改善」によって、ユーザがいち早く知りたい情報に辿り着けるようになりました。
その結果、閲覧率が改善前に比べ2割以上、上昇しました。
【問題2】クリック率の改善
【問題1】の解消による閲覧率の上昇に伴い、クリック率も「15%」から「22%」に改善しました。
改善によって、より多くのユーザが、主動線に乗り「当社の強み」ページへと遷移するようになりました。
マイクロコンバージョン改善の結果
- 「当社の強み」の閲覧率が45%→66%に増加。
- 「主動線ボタン」のクリック率が15%→22%に増加。
(この改善によって、実際に問い合わせの件数が増えました。)
小さな改善を積み立てて、勝ちパターンである「主導線」に流し込むことで問い合わせ件数を増やすことができます。
「ユーザ目線」での改善を
これはマイクロコンバージョン改善における、ほんの一部です。
他にも、SEOを考えた細かなチューニングでは、狙ったワードでの流入数を増やす大量の打ち手があります。
また、ユーザの使い勝手を向上させ体験をより良いものとし、満足度を向上させるためのアカデミックな研究・実践に基づく改善手法もあります。
マイクロコンバージョン改善では、Googleアナリティクスなどの分析ツールを活用し、実際のデータを見て、問題を洗い出し「何が問題か」を分析します。
分析時、施策の実行時、どちらでも必要なのは「ユーザ目線」であることです。
ユーザの目線で、Webページを見て「なぜ離脱するのか?」といった原因分析を行い、問題解消のために「次のページに遷移してもらうにはどうすればいいか?」改善施策を考えてみると良いでしょう。
ユーザにとって良いサイトを目指すことで、ボトルネックとなっている問題が解消され、成果の出るWebページ/サイトへと改善できます。
最後に
リニューアルのように予算/時間をかけなくても、マイクロコンバージョン改善によって、戦えるWebサイトに変えることができます。
一つ一つは小さな改善でも、積み重ねていくことで、成果へと繋げられます。
今のWebサイトが良くないと思ったら、Web制作会社にリニューアルを相談する前に、少額の投資で今のWebサイトを生まれ変わらせる「マイクロコンバージョン改善」を検討してみてはいかがでしょうか。
成果の出るWebサイトへと改善したい皆様へ
弊社は、マイクロコンバージョン改善をはじめとする「Webサイト改善」を得意としています。
- ボトルネックを潰し、主導線を磨き上げる
- ユーザニーズに合わせたコンテンツにチューニング
- 細かなSEO改善による流入経路の最適化
- 柱となる集客コンテンツの制作・リリース
弊社では無料相談の段階から、営業ではなく、プロのWebコンサルタントがお伺い致します。
そのため、お困りのWebサイトを見せて頂ければ、だいたいこのあたりが問題だろう、というあたりが付けられます。
ご興味がある方は「お問い合わせ」から、無料相談をお申し込みください。
この記事のメイン制作者
東証一部上場の専門商社にて営業職に就き、ルート営業、新規開拓営業、展示会営業等を経験した後、Web制作とWebシステム開発の会社を創業。その後再度独立しフリーランスとして大手メーカーのグループ全社Webコンサルティングや、グローバル企業のWeb改善プロジェクト、中小企業のWebコンサルティング等に従事し、2011年に当社設立。代表コンサルタントとして現在も前線で業務に従事しながら、経営・社員のマネジメント・育成・事業開発に勤しんでいます。最近ダイエット中で、お腹回りが10cm縮みました。